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記憶力選手権 作成 2016年12月8日 最終更新 2018年1月19日

世界記憶力選手権(World Memory Championship)とは、1991年にトニー・ブザン(イギリス、1942年生)とレイモンド・キーン(イギリス、1948年生)が共同で創設した、記憶力世界一を決める大会である。

現在、世界において、「世界一頭の良い人物(Smartest person)」、つまり世界一の天才を決定するような国際的な大会は、存在していない。IQ(知能指数)世界一を決める大会は、存在するらしい("IQ Championship"で検索すると数件がヒットする)ものの、大規模な国際大会はなぜか開催されたことがなく、ほとんど認知はされていない。世界記憶力選手権に比べればIQの大会の認知度は概して低く、頭を使う大会としては世界記憶力選手権の方が参加者の多さ、検索エンジンでの検索時のヒット数の多さや、関連する書籍が複数出版されていることから、世界記憶力選手権のほうが著名であることは明らかとなっている。

このことから、脳を使う大会としては世界記憶力選手権はもっとも著名なもののひとつであり、脳力ナンバーワン、つまり世界一の頭脳をもった人を決める大会に最も近い...と言えるのではないだろうか。

WMSCのロゴ

IAMのロゴ

実は記憶力選手権を運営する組織は2つ存在し、ひとつはトニー・ブザンらが1991年に創設したWMSC(World Memory Sports Council)、もうひとつはWMSCが腐敗し中国ばかりで世界大会を開くようになったことに伴って2016年にWMSCを見限った人々が新たに発足させたIAM(International Association of Memory)である。WMSCとIAMがそれぞれ大会を開催したりランキングを作ったりして、世界大会や世界ランキングが2つも存在するという混乱しやすい状態になっている。いつの日か、両組織が再び統一されることを願う。

初期の1991年から2009年ごろまではヨーロッパ人が上位を占めていたが、2010年代に入ってからはアジア人が上位に入ることが増え、記憶競技の中心はヨーロッパからアジアへと移った。IAMによる最初の世界大会がヨーロッパではなくアジアのジャカルタで行われたことは、アジアが記憶力選手権の中心であることを示す象徴的な例となった。
アジア人でもモンゴルが人口300万人の小国であるにもかかわらず上位成績者が多く、ランキングには多数のモンゴル人が入っている。これは、陸上競技の短距離走の上位成績者に(人口はモンゴルと同程度の小国の)ジャマイカの出身者が多いことと似ている。日本人の上位成績者のランキングに占める割合は概して低く、2018年1月6日時点でトップ100位以内に日本人は1人のみ(IAM発表のランキングによる)となっている。


記憶競技の競技別世界ランキング


世界記憶力選手権 歴代優勝者(出典
開催年月日 優勝者 得点 得点
※ 現在の得点基準に
照らし合わせての得点
性別 生年月日 優勝時点(大会終了日時点)での年齢
1 1991年10月26日  ドミニク・オブライエン 不明 不明 男性 1957年8月10日 34歳77日
2 1993年8月7-8日  ドミニク・オブライエン(2回目) 92.5 2,441 男性 1957年8月10日 35歳363日
3 1994年8月6-7日  ジョナサン・ハンコック 1080 3,240 男性 1972年2月12日 22歳176日
4 1995年8月5-6日  ドミニク・オブライエン(3回目) 1041.8 4,152 男性 1957年8月10日 37歳361日
5 1996年8月3-4日  ドミニク・オブライエン(4回目) 1046.51 3,994 男性 1957年8月10日 38歳360日
6 1997年8月22-23日  ドミニク・オブライエン(5回目) 1049.1 4,345 男性 1957年8月10日 40歳13日
7 1998年8月?日  アンディ・ベル 928 3,925 男性 1972年 24 or 25歳
8 1999年8月26-27日  ドミニク・オブライエン(6回目) 784.7 3,907 男性 1957年8月10日 42歳17日
9 2000年8月21-22日  ドミニク・オブライエン(7回目) 764.6 3,771 男性 1957年8月10日 43歳12日
10 2001年8月25-26日  ドミニク・オブライエン(8回目) 6,263 4,436 男性 1957年8月10日 44歳16日
11 2002年8月24-26日  アンディ・ベル(2回目) 6,927 4,856 男性 1972年 29 or 30歳
12 2003年10月3-5日  アンディ・ベル(3回目) 6,701 4,718 男性 1972年 30 or 31歳
13 2004年8月28-30日  ベン・ブリッドモア 8,302 5,392 男性 1976年10月14日 27歳321日
14 2005年8月13-15日  クレメンス・マイヤー 6,240 5,122 男性 1985年9月25日 19歳324日
15 2006年8月19-21日  クレメンス・マイヤー(2回目) 7,302 5,171 男性 1985年9月25日 20歳330日
16 2007年8月31-9月2日  グンター・カールステン 6,986 4,767 男性 1961年9月23日 45歳344日
17 2008年10月24-26日  ベン・ブリッドモア(2回目) 7,908 5,357 男性 1976年10月14日 32歳12日
18 2009年11月12-14日  ベン・ブリッドモア(3回目) 7,854 5,271 男性 1976年10月14日 33歳31日
19 2010年11月3-5日  ワン・フェン 9,486 6,076 男性 1990年 20歳
20 2011年12月7-9日  ワン・フェン(2回目) 8,478 6,237 男性 1990年 21歳
21 2012年12月14-16日  ヨハネス・マロー 8,413 6,407 男性 1981年6月7日 31歳192日
22 2013年11月30-12月2日  ヨナス・ヴァンエセン 8,534 6,434 男性 1991年4月24日 22歳222日
23 2014年12月11-14日  ヨナス・ヴァンエセン(2回目) 8,189 6,755 男性 1991年4月24日 23歳234日
24 2015年12月16-18日  アレックス・ミュラン 8,926 7,429 男性 1992年3月3日 23歳290日
25 2016年12月14-18日 WMSC公認大会  アレックス・ミュラン(2回目) 8,647 - 男性 1992年3月3日 24歳290日
26 2017年12月1-3日 IAM公認大会  アレックス・ミュラン(3回目) 9,061 8,645 男性 1992年3月3日 25歳275日
2017年12月6-8日 WSMC公認大会  ムンクフシュール・ナマンダクフ 8,035 - 女性 1999年1月3日 18歳339日

主な記録(2018年1月1日現在)
記録名 記録保持者 記録の詳細
最年長優勝  グンター・カールステン 45歳344日
最年少優勝  クレメンス・マイヤー19歳324日
 ムンクフシュール・ナマンダクフ18歳339日(WMSC公認・IAM非公認)
最多優勝  ドミニク・オブライエン 8回
連続最多優勝  ドミニク・オブライエン 3回(1995 - 1997と1999 - 2001)
 アレックス・ミュラン 3回(2015 - 2017、ただし2016年はWMSC公認・IAM非公認大会。2017年はIAM公認・WMSC非公認大会。)

記憶力上位者トップ10(出典: IAM)2018年1月6日現在
順位 名前 得点 性別 記録年
1  アレックス・ミュラン 8,645 男性 2017
2  ヨハネス・マロー 8,053 男性 2013
3  ゾー・ルズィアン 7,520 男性 2017
4  スー・ツェヘ 7,460 男性 2017
5  ムンクフシュール・ナマンダクフ 7,406 女性 2017
6  マーヴィン・ウェロニアス 7,395 男性 2015
7  ヤンジャー・ウィンターソウル 7,179 女性 2017
8  サイモン・レインハルド 7,130 男性 2017
9  ルクハグヴァヅラム・エンクフツヤ 7,108 女性 2017
10  エンクフシュール・ナマンダクフ 6,997 女性 2017

記憶力上位者トップ10(出典: WMSC)2018年1月6日現在
順位 名前 得点 性別 記録年
1  ヨハネス・マロー 8,792 男性 2013
2  アレックス・ミュラン 8,647 男性 2016
3  マーヴィン・ウェロニアス 8,086 男性 2015
4  サイモン・レインハルド 7,806 男性 2015
5  ヨナス・ヴァンエセン 7,407 男性 2014
6  フアン・センファ 7,141 男性 2016
7  スー・ツェヘ 7,088 男性 2016
8  ワン・フェン 6,779 男性 2011
9  ムンクフシュール・ナマンダクフ 6,770 女性 2016
10  リュー・ハイフェン 6,730 女性 2016

2010年8月28日時点での世界ランキング(出典: Internet Archive)
順位 名前 得点 性別 記録年
1  ベン・プリッドモア 7,908 男性 2008
2  グンター・カールステン 7,631 男性 2007
3  サイモン・レインハルド 7,624 男性 2009
4  ヨハネス・マロー 7,321 男性 2009
5  クレメンス・マイヤー 7,302 男性 2006
6  アストリッド・プレッスル 6,909 女性 2004
7  コルネリア・ベディーズ 6,878 男性 2007
8  ボリス・コンラッド 6,619 男性 2009
9  ワン・フェン 6,480 男性 2009
10  ジョアシム・タラー 6,440 男性 2006

記憶力選手権で行われる種目

※ 記録はIAM公認記録のみを表示

・顔と名前(Names and Faces)

様々な人種・年齢の人間の顔とその下に書かれた名前を覚える種目。

世界記録:ケイティ・カーモード(イギリス・女性)5分で97ポイント
ヤンジャー・ウィンターソウル(モンゴル・女性)15分で212ポイント

・数字記憶(Numbers)

10進数の数字を、15分〜1時間かけて記憶する種目。

世界記録:アレックス・ミュラン(アメリカ・男性)15分で1100桁
アレックス・ミュラン(アメリカ・男性)30分で1933桁
アレックス・ミュラン(アメリカ・男性)1時間で3238桁

・カード記憶(Cards)

カード(トランプ)の順番を、10分〜1時間かけて記憶する種目。

世界記録:Lkhagcadulam Enkhtuya(モンゴル・女性)10分で493枚
アレックス・ミュラン(アメリカ・男性)30分で910枚
Munkhshur Narmandakh(モンゴル・女性)1時間で1776枚

・単語記憶(Words)

その名の通り、単語を覚える種目。名詞・動詞・副詞など様々な単語を記憶しなければならない。

世界記録:ヨハネス・マロー(ドイツ・男性)5分で140ポイント
ケイティー・カーモード(イギリス・女性)15分で318ポイント

・画像記憶(Images)

カラーの画像の順番を5分間で記憶する種目。WSMCの大会では行われておらず、代わりにAbstract Imagesが行われている。

世界記録:ヤンジャー・ウィンターソウル(モンゴル・女性)354ポイント

・架空の日付(Fictional Dates)

「架空の歴史の日付」を5分間で記憶するという、ユニークな種目。
記憶力選手権の種目では毎年のように世界記録が更新されているにもかかわらず、ヨハネス・マロー選手が2011年9月に樹立した132個という記録は6年間以上世界記録が更新されていなかった。この記録は当時としては他に肉薄する記録が無い驚異的なもので、半ば不滅の世界記録のようになっていたが、2016年になってから115個以上を記憶できる選手が数名現れるようになり、2017年12月にアレックス・ミュラン選手が1つだけ多い133個を記憶したことで、不滅の記録にも終止符が打たれた。

世界記録:ヨハネス・マロー(ドイツ・男性)132ポイント

・スピードナンバー(Speed Numbers)

10進数の数字を、5分間で記憶する種目。

世界記録:アレックス・ミュラン(アメリカ・男性)568桁

・2進数ナンバー(Binary Numbers)

2進数の数字を記憶する種目。

世界記録:スー・ツェヘ(中国・男性)5分で1170桁
Munkhshur Narmandakh(モンゴル・女性)30分で6270桁

・スポークンナンバー(Spoken Numbers)

音声で読み上げられる数字を記憶する種目。大会の終盤・9種目目で行われることが多い。

世界記録:ランス・ツチルハート(中国・男性)456桁

・スピードカード(Speed Cards)

52枚のカード(トランプ)の順番を、5分以内で記憶する種目。10種のうちの最終種目として行われる。10種競技の中でも最も人気が高い競技だと思われ、当サイト管理人が最も好きな種目でもある。

世界記録:アレックス・ミュラン(アメリカ・男性)15.61秒/52枚

・象徴的な図形(Abstract Images)

白黒の象徴的な形を覚える種目。2006年の大会から実施。IAMの大会では行われておらず、代わりにRandom Imagesが行われている。

・詩(Poem)

長文を覚える種目。2005年以降は行われておらず、代わりにAbstract Imagesが行われるようになった。



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